ヒーローになれたならば
生きるということ
いきなり大それたタイトルで申し訳ないですが、仕事の話を久しぶりにしたいと思います。
仕事柄これまで普通に生活していれば見ることの無い数の亡くなった方を見ました。
老衰、事故、大病、急死、そして、自殺。
自殺って本当に多いんですね。この職に就くまではニュースで聞くぐらいで現実味がなかったんですけど、自殺の死者が一番多い気がします。
僕が初めて胸骨圧迫をしたのは僕よりも年下の女子高生でした。
死因は首吊りによる自殺でした。
そのときは結構思うことがありました。
なんで、まだ、十代なのに、どうして、とか色々なことが思い浮かび切なくなりました。
泣き叫ぶその子の親を見て辛くなりました。
なぜこんなに死を選ぶ人が多いんだろう。
そんなに嫌な世の中なんだろうか。
死ねば本当に楽になるんだろうか。
消防士って世間からは意外とヒーロー扱いされたりしますけど、
映画みたいに人を救えたことなんてありません。
現場に行ったらもう即死状態だったなんてよくあることです。
多くの悲しみだけしか僕は…
もう少し僕が技術的に出来たならば
ドラマの主役みたいならその人を救えたんじゃないのかとか。
その人の死をその時は悲しいと思うけれど、
家に戻ればテレビを見て笑っている自分がすごく冷たい人間に思えてきて。
それでも、たまに救急に行って、「ありがとう」と言ってもらえたりすると
この仕事でよかったなって思います。
そんな日々の繰り返し。
多分誰よりも平和を願っているのは消防士の人たちなんじゃないかなと思います。
どうか命を大切に